タイトル:理系の子 著者:J・ダットン
本書はインテル国際科学フェアなる世界中の高校生達が集うサイエンスオリンピックの話である。
高校生の大会とて侮れない。大会には400万ドル相当の賞金や名門大学からの奨学金もあり企業の目も光る。
出場者の5人に1人が新案特許を出願しているというから驚きだ。
面白いのが出場者の高校生たちは必ずしも一流設備の学校に通う成績優秀のエリートだけではないことで
ナヴァホ族のギャレットは白いトレーラー・ハウスに家族6人で住んでいた。
隙間だらけのトレーラーでは冬はきつく幼い妹達にとっては生死に関わるものであった。
妹達の為に廃材のガラクタを集めヒーターを作りそこからサイエンスフェアまでたどり着く者。
ほとんどの参加者は、このサイエンスフェアを厳粛に受け止めていることを伝えるためにビジネススーツで臨んでいるが、モデルのイライザはヴィンテージドレスに高級ブランドのアクセサリーを身につけで会場をまるでファッションショーさながら歩く。華やかなモデル業と暗いイメージの科学とでどっちに重きをおくのかとの葛藤もあるが、すごい2択で高校生ながら悩んでいる。
幼い頃は発達障害をかかえていて、友達も少なく内気なライアンだがサイエンスフェアに参加し活躍したことによって世に認められ、アメフト部のスター選手と肩を並べる有名人になる。友達や彼女もできこれまでの人生とは考えられないくらいの栄光や経験を手にする。
鉛筆すら凶器とみなされる少年院の中から出場する者
親の勤める大企業を相手に環境問題を指摘し大企業相手に挑戦する者
自らハンセン病と戦いながらハンセン病を研究する者など
一人一人に個性豊かなストーリーがありとても魅力的である。
本書では11人の出場者の生い立ちから出場の経緯、研究内容と細かく書かれていて。
文章も読みやすく小説を読んでるかのように読み進めることができる。
生い立ちが分かる分感動する場面も多々ありとてもお勧めの一冊である。